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​労務 >> 解雇

普通解雇と懲戒解雇/労務

​雇用者のみなさまへ

勤務不良で毎週1回以上遅刻する社員を解雇することができるでしょうか?


 

これは、朝雲法律事務所に実際に寄せられたご相談です。

 

【回答】
十分な指導、教育を経ても改善されない場合は、解雇できる場合があります。

 

 

 

 

 

【解説】
解雇には、普通解雇と、懲戒解雇があります。
普通解雇とは、単に労働契約を終了させることです。
解雇自由の原則(民法627)に基づき、解雇権濫用に当たらなければ、解雇できます。
これに対し、懲戒解雇は解雇すなわち労働契約の終了に加え、従業員に懲罰を与えるというものです。
もともと使用者には、労働者を懲罰する権利はありません。
よって、就業規則などで定めていないと懲戒解雇はできません。
この場合、定めるのは、
 ①どんな場合に懲戒解雇できるか?(懲戒解雇の要件)
 ②懲戒解雇するとどうなるか?(懲戒解雇の効果)つ
まり、退職金の不払いなど。
 

解雇できるかどうかですが、普通解雇の場合、労働契約を終了させてよいか(解雇に正当な事由があるか)、という観点から見ます。
懲戒解雇の場合、労働契約を終了させてよいか、のほか、労働者を罰してよいか、という観点から見ます。
よって、懲戒解雇の方が、手続き面でも、実質的な要件面でも要件が厳しいです。
半面、退職金の不払い、予告手当の不払いなど、懲戒解雇の方が効果が大きいです。

 

就業不良で解雇できるでしょうか?

就業不良は労働契約の不履行(何時から何時まで働きます、という約束を守っていない)ので、解雇事由にはなりえます。
しかし、この程度で懲戒、つまり罰まで与えていいかは疑問です。
普通解雇が無難ではないでしょうか。


続いて、普通解雇の要件です。

一発解雇だと解雇権濫用に当たるので、無理だと思います。
サッカーでも、よほどひどくないと、一発レッドカードはないでしょう。
解雇も、それと同じで、最初は、イエローカードが必要です。
まずは、遅刻する労働者には指導、教育が必要です。
指導、教育しても改善されなかった場合、解雇の正当と言われる可能性が出てきます。
よって、少なくとも、解雇前に、指導、教育をすることが重要です。
そして、それを、証拠に残すことも重要です。
つまり、書面で、指導書、注意書を交付することが重要です。
また、そもそも就業不良自体の証拠化も必要です。
遅刻であれば、タイムカードで分かります。
また、労働者自身が就業不良を認めた証拠として、始末書を書かせるのも肝要です。
これらを一回ではなく、数回繰り返すべきでしょう。
よって、解雇するには時間がかかると思ってください。
イエローカードをサッカーのように1枚でなく、何枚か渡した後でないと、レッドカードは渡せません。

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