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執筆者の写真弁護士 朝雲 秀

調査会社により「倒産」の意味が違う! 

 新聞等で、全国の、あるいは、九州・沖縄など地域別、県別の倒産件数の発表がよくされています。よく見かけるのは、東京商工リサーチと帝国データバンクによる集計です。

 「倒産」は法律用語ではなく、一般用語のため、その意味ははっきりしません。

 しかし、東京商工リサーチのホームページによると、同社の使う「倒産」は、破産、民事再生、会社更生、特別清算、銀行取引停止、内整理(任意整理、私的整理など法的整理以外の清算)の6つを指します。よって、同社の発表する数値は、この6つに当てはまる企業倒産のものです。ちなみに、集計は負債総額1000万円以上の個人企業及び法人が対象です。

 同社のホームページによると、上記のように倒産を定義づけ、その集計をして発表した最初の会社が同社だそうです。

 帝国データバンクも上記の倒産の定義づけに従い、6つに当てはまる倒産のデータを発表してきました。しかし、最近は、帝国データバンクは東京商工リサーチと違い、法的整理(破産、民事再生、会社更生、特別清算)のみを集計して発表しています。帝国データバンクの記事には「倒産(法的整理のみ)」と注記がされています。

 帝国データバンクが集計を法的整理に限ったのは、恐らく、近年、事業再生ADR,中小企業再生支援協議会、REVICといった、金融機関のみを対象とし、取引先企業には内密の私的整理の制度が整備され、私的整理をしても、必ずしも表に出なくなったことが理由の一つと考えられます。これにより、裁判所を通さない私的整理の集計がしづらくなったのではないかと思います。

 従って、私的整理を含む倒産件数の集計については、必ずしも全てを網羅しているとは言い難く、前年同期から増えた、減ったということは参考程度にとどめた方がいいかもしれません。

 これに対し、法的整理は、官報に載ったり、登記簿に載ったりするので、その実数は正確に集計できます。

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